「鉄道会社」の常識を覆す。地方創生を志す学生33名と静岡鉄道が真剣に向き合った4時間【BaseMe Local college/イベントレポート】

今回は、2026年7月4日に開催した「【BaseMe Local college】地方創生 未来構想 Meet UP!」の様子をレポートします。

静岡鉄道株式会社さまをお迎えし、会場となった東京・日本橋小伝馬町のOFF TOKYOには、首都圏はもちろん、宮城・茨城・関西まで、全国各地でまちづくりや地方創生に取り組む学生33名が集まりました。

この会には、企画段階からひとつの明確な方針がありました。それは、「単なる採用イベントとするのではなく、あくまでも地方創生を語る場を提供する」ということです。企業紹介と選考案内を並べるのではなく、「地域をもっと面白くしたい」という同じ関心を持つ学生と企業が、フラットに語り合える一日をつくる。そのイベント設計が、当日どんな時間を生んだのかをお届けします。

企業の採用ご担当者さま、そして地方創生や地域活性化、社会課題に関心のある学生の皆さまにとって、この記事が何かのヒントになれば幸いです。

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イベント開催の背景

イベントを開催したきっかけは、静岡鉄道様の26卒の内定者には、Iターンとなる学生や、地域活性化・地方創生に関心のある学生が多かったことにありました。

学生団体で地域のイベントを運営している人もいれば、ゼミで地域課題を研究している人、長期インターンで実際に事業を動かしている人もいます。関わり方はさまざまですが、共通しているのは「地域をもっと面白くしたい」という気持ちの強さでした。そこで、「Iターン・地方創生志向の学生との接点創出に価値があるのではないか」と考えたうえで生まれたのが、今回の企画です。

この会には、ブランディングの視点からもひとつのこだわりがありました。それは、単なる採用イベントとするのではなく、地方創生という共通のテーマを通じて、学生の皆さまと共に成長できる場をつくるということです。企業側が一方的に知識を伝えるのではなく、自社の知見を共有しながら、学生の皆さんの視点からも学びを得る。そうした双方向の対話を通じて、お互いの活動やキャリアを深め合えるような時間を図りました。

地方創生というテーマは、社会全体でも関心が高まっています。企業が地域とどう関わるかを共有することは、これから働く場所を選ぶ学生にとっても、大きな判断材料になりつつあります。

静岡鉄道株式会社さまは、まさにその取り組みを体現されている存在です。鉄道事業にとどまらず、不動産、流通、自動車販売、レジャーと、地域の暮らしを多面的に支える事業を展開されています。「企業として地方創生にどう関わるか」「どのような価値を提供でき、どのような課題に直面しているのか」といった問いに、その実例と現場のリアルをお話しいただきました。

当日のイベントサマリ

イベント当日は13時の開会から18時まで、会社紹介と登壇者トーク、グループワーク、そして懇親会という3つのセクションで進行しました。ここからは、当日の様子を順を追って詳しくレポートしていきます。

① 鉄道売上はわずか1%。「まちづくりカンパニー」静岡鉄道の知られざる素顔

イベントは、静岡鉄道さまの会社紹介から始まりました。

多くの学生が「鉄道会社」というイメージを抱いて参加するなか、冒頭で共有されたのは、グループ売上に占める鉄道事業の割合が約1%であるという事実でした。残りの大半を占めるのは、不動産、流通、自動車販売、レジャーといった事業です。「鉄道会社」という従来のイメージを越えて、多角的な事業展開が明かされた瞬間、会場の熱気が一段と高まったのが印象的でした。

静岡鉄道さまが自らを表現するときに使うのが、「まちづくりカンパニー」という言葉です。駅をつくり、電車を走らせるだけではなく、その沿線で人がどう暮らし、どう働き、何を楽しむのかまでを含めて設計していく。鉄道はその手段のひとつにすぎない、という考え方が、事業構成に表れていました。

続く登壇者トークでは、人事ご担当の社員さまが、ご自身のキャリアの歩みを率直に語ってくださいました。静岡で生まれ育ち、県外の大学に進学し、そして地元へUターンして静岡鉄道に入社するまでの歩みを、順を追ってお話しくださいました。学生時代にまちづくりへ抱いた関心が、いまの仕事にどうつながっているのか。当時の小さな迷いや揺れる気持ちまで丁寧に共有してくださったことで、参加した学生からは「共感できた」という声が数多く寄せられました。

キャリアの結果だけではなく、その途中にあった迷いまで含めてお話しいただいたことが、学生の心を動かしていたのだと思います。

② 「人口減少の中でも面白い地域づくりを」。6つの視点から挑んだグループワーク

イベント後半は、所属の垣根を越えてチームを組み、グループワークに取り組みました。テーマは、静岡県の地域課題を題材にした分析・立案・発表です。

チームは、交通・土地活用・観光・育児/教育・防災・農業という6つのテーマに分かれました。それぞれのチームには、静岡県ならではのデータ(鉄道駅の徒歩圏に住む人の割合・県内の空き家数・観光における日帰り客の比率など)と、富山ライトレールや尾道市の再生事例といった全国の成功・失敗例が、題材として共有されました。

学生はそれらを出発点に、「実例→課題→要因→施策→効果」という流れで自分たちの提案を組み立て、発表に臨みます。バックグラウンドも専門も異なるメンバーが集まったことで、議論は多様な広がりを見せました。

建築を学ぶ学生が空間の視点を提示すれば、経営を学ぶ学生が事業の継続性を問う。

地元出身者のリアルな感覚に、県外の学生が外からの視点で切り込む。

初対面とは思えない熱気の中で、活発な議論が交わされました。

発表後には、他チームの提案に対しても活発に意見が交わされました。同じ「静岡県の地域課題」という題材でも、切り口が違えば見えてくる景色は異なります。その違いに触れられたことが、参加者にとって大きな収穫になっていたようです。

③ クロージングと懇親会

イベントの締めくくりには、学生の皆さまと静岡鉄道の皆さま、または学生同士が、名刺交換をしながら、個別に語り合う懇親会の時間を設けました。

グループワークで生まれた議論の熱がそのまま引き継がれ、学生同士が互いの活動を紹介し合ったり、静岡鉄道の皆さまに事業の詳細を尋ねたりと、あちこちで深い対話が生まれていました。「懇親会の時間がとても有意義だったので、もう少し長く交流できると嬉しい」という声が挙がるほど、話の尽きない時間になりました。

参加した学生の声

イベント後のアンケートでは、回答した29名のうち約9割が満足度「4」以上(平均4.5/5)とお答えいただきました。そこで寄せられたコメントは、この会がめざしたねらいを体現するものでした。

「他地域の学生と、地方創生に対する視点や知識を共有し合えた点がよかったです」

「普段出会う機会の少ない、起業や地域活動など様々な分野で活躍する学生の方々とディスカッションできたことがとても良かったです。建築とは異なる視点に触れ、地域創生を多角的に考えるきっかけになりました。また、建築の外に出たことで、自分の専門性や強みを実感できたことも良かったです」

「地方創生に取り組んでいる色んな学生と話すことができたことが一番の収穫でした」

「静岡鉄道の事業紹介、人事の方のまちづくりの実践、グループワークを通して、まちづくりに対する考え方を広く深く知ることができました」

特に印象的だったのは、「静岡鉄道について知ることができた」という感想以上に、「他の学生から刺激を受けた」「自分の専門性を再確認できた」という声が多かったことです。企業と学生の一対一の関係ではなく、学生同士の横のつながりまで含めて価値が生まれていたことが、アンケートから読み取ることができました。

あわせて、「グループワークや発表の時間をもっと取ってほしい」「他チームとの交流や、参加者の背景を事前に知る機会がほしい」といった前向きな要望も届いています。その多くは、関心の高さゆえの「もっと話したい」という思いから生まれたものでした。今回のイベントでいただいた声は、次回のイベントに活かしていきます。

静岡鉄道さまの声

さらに、静岡鉄道さまからもこのような温かいお言葉をいただきました。

「普段の採用活動ではなかなか出会えない学生の皆さんと、じっくり語り合うことができました。議論もとても活発で、私たちにとっても学びの多い、有意義な時間になりました」

学生と企業が立場を越えて対等に語り合えたことは、静岡鉄道さまにとっても、確かな手ごたえになったようです。

「対話の機会」が生み出した深い結びつきが、結果として最も密度の濃い接点となった

今回のイベントを通して、私たちがもっともお伝えしたいのは、「採用のためのイベントではなく、同じ志や関心を抱く学生が集まって語る場を提供し、そこで企業としての知見を共有することを重視した」という点です。そうして設計にこだわったからこそ、採用における母集団形成では接点を持ちづらい学生群と、結果的に濃い接点を持つことができました。

実際、イベント後にも「学生ができる取り組みの助言をもらいたい」「タイアップして何かをしたい」といった要件で、学生から継続的な接点を希望するケースも多く見られました。アンケートにも、「自分たちの団体が静岡で貢献できるプロジェクトについて相談したい」「地元である静岡で就職活動を進めたいので、その相談をしたい」といった、参加者の声からは、それぞれが今後の具体的なアクションを見据えている様子がうかがえます。

これらは直接的な選考への参加希望ではありませんが、より本質に迫ったマッチングおよび相互理解を深めていただくことを図ることのできる接点の創出でした。企業のことを深く理解し、価値観が重なると感じた学生が、自分から関わりを求めてくる。その入り口をつくることができたことに、この企画の意味があったと考えています。

さらに今回は29〜30卒の下級生の参加もあったため、将来的な採用の土台づくりに繋がると同時に、学生の皆さまにとっても、就職活動の本格化を前に企業の価値観やカルチャーに深く触れ、キャリアを早期から具体的に検討する貴重な機会を提供することができました。就職活動が本格化する前の段階で、企業の価値観に触れる機会を持った学生は、その後のキャリア選択においても企業を身近に感じてくれるはずです。

イベントの企画および実施には、時間と労力が必要であり、かつ遠回りなアプローチと思われるかもしれません。それでも、短期・長期を問わず非常に効果的な施策であると私たちは考えています。

おわりに

今回のイベントでフラットに語り合える場が熱量の高い交流を生み出すと再認識しました。静岡鉄道さまが「まちづくりカンパニー」としての等身大の姿を誠実にお話しくださり、それに応えるように学生の皆さんもそれぞれの現場で培ってきた視点を持ち寄ってくださいました。この素晴らしい相互作用のなかで、企業側は学生の皆さんの純粋な情熱に触れ、学生側も自らの活動を新たな視点で見つめ直す貴重な機会を得られたのではないでしょうか。採用という枠組みを超えて、志を共にする者同士として向き合ったからこそ、より本質的で温かい出会いが生まれたのだと感じています。


「自社らしさが伝わる学生接点をつくりたい」「価値観でつながる出会いの場に興味がある」 そんな企業さまは、ぜひお気軽にBaseMeまでご相談ください。貴社がこれまでの歩みの中で培ってきた独自の強みや現場で活躍する社員の皆さまの等身大のストーリーなどのなかから、未来を担う学生たちの心を深く揺さぶるテーマを一緒に見つけ出し、学生との最適な出会いの場を設計いたします。

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