株式会社ベースミーCEO・勝見による、ゲストの人生と価値観に深く迫るインタビュー企画「Kimmy’s Interview」。今回登場するのは、高崎経済大学経済学部国際学科4年の城戸口莉央さんだ。
「趣味はNotionと奈良」と語る彼女は、2年生の2月から4年生の6月まで、実に一年以上にわたる長い就職活動を経験してきた。
提出したESは約50社に及んだ。数をこなすほど一社一社への向き合いが薄れ、迷いの中で走り続けた日々。しかし、その過程でも城戸口さんの中でずっと揺らがなかったものがある。
「自分の好きなものを扱う仕事を選ぶ」という明確な軸だ。
その意思は、気まぐれな思いつきではない。大学1年生の秋に訪れた奈良での体験が、彼女の価値観に大きく影響を与えたのだ。
“好き”に正直でいること。その選択がキャリアの中心に据えられた背景を、今回のインタビューで丁寧に紐解いていく。

城戸口莉央 さん
山形県出身、高崎経済大学4年
UPSIDER、PRTIMESでインターンを経験し
BaseMe Amsbassodor Community(BAC)1期生としても活動。
現在は、XLOCALで長期インターン活動を行っている。2024年2月から2025年6月まで就職活動を行い、最終的にテレビ局から内定を獲得。
趣味は、仏像鑑賞とNotion構築。
1. 主張する子と、リーダーに育った背景
幼少期の城戸口さんは、活発で、時に「やんちゃだった」と親から言われるほどエネルギーにあふれた子どもだった。幼少期からスポーツに打ち込み、周囲との関わりも多く、他者と交わる中で自分を表現することに自然と慣れていった。
中学へ進むと、そのエネルギーは“人をまとめる”方向へ向かう。図書委員長、生徒会長、高校では議長へと役割を広げ、組織の中心に立つことを厭わなかった。城戸口さんは当時をこう振り返る。
「良くも悪くも声が大きいので、自分の意見をちゃんと言うとか、主張はすごくする子どもだったなと思ってますし、周囲からも、同じように思われてたと思います。」
主張することを恐れず、自分の考えをまっすぐに発信する。その姿勢は、幼い頃から一貫していた。ここに、後のキャリア選択の核となる「自分に正直でいる」という彼女の原型が、すでに垣間見えている。
2. 『伝える』仕事との出会い
高校を卒業し、群馬の高崎経済大学・経済学部国際学科へ進学した城戸口さん。
1年生の頃は、とにかく大学生活を楽しむことに全力だった。ダンスサークルに入り、生協の学生団体にも参加する—“大学生活を満喫したい”という気持ちが強かったという。
しかし2年生になると、胸の奥で小さな違和感が生まれる。
「1年生の時にずっと遊んでばっかりだったので、何か目的を持って、目標を持って行動したいなと思って。それで『その中で何が良いかな』って考えた時に、友人がインターンをしていたので、私も始めてみようと思ったんです。」
そうして長期インターンを探し始め、最初に飛び込んだのがフルリモートで働けるベンチャー企業だった。任されたのは、サービスの導入事例を書く執筆業務。そこで彼女は、自分でも意外な“楽しさ”に気づく。
「導入事例を書く仕事が結構楽しくて。そこから情報を発信することにすごく関心を持ちました。それをきっかけに、PR会社でもインターンをしましたし、サークルでも広報担当をやったりして。“伝える仕事がしたいな”って思うようになりました。」
こうして「伝える」を軸にしたキャリア観が形づくられていった。
彼女が後の就職活動で広告業界やテレビ局を中心に見ていたのも、ごく自然な流れだ。しかし、その奥にはもうひとつ、揺るがない“芯”があった。
それは—奈良で育まれた「好き」という感覚。
伝える軸のさらに奥にある、もっと深い「自分の核」だった。
3. 奈良がつくった”人生の軸”
自身の価値観に最も影響を与えたものは何か—そう尋ねられた城戸口さんは、迷いなく「奈良」を挙げた。
「自分の人生の軸を1個作ってくれた経験っていうのは、奈良が好きになった出来事なんです。それが、私の価値観の大きな部分を占めていると思います。」
城戸口さんが奈良を好きになった原点は、ひとつの仏像との出会いにある。
「私はもともと、日本史が大好きで。日本史の教科書に出てきた奈良の仏像が、たまたま宮城に来ていたんです。“せっかくだったら行ってみよう”と思って見に行ったんですけど、実際に見た時に本当に想像を絶するというか、経験したことがないくらい感動して。“絶対にもう1回見に行きたい”と思ったんです。」
その“もう一度”を叶えるため、大学1年生の秋、自分の誕生日に奈良へ向かった。本来その仏像があった場所に足を運び、土地の空気とともに再び対面する。美術館での感動が、その場でさらなる深さへと変わっていった。
その旅の中で、彼女は自分の内側にある“価値観の中心”に気づく。—この「好き」という気持ちを大切にしたい。
奈良を好きになった感情は、彼女にそう教えてくれた。
「好きなものを大事にしようっていう気持ちは、ずっと変わらずあって。例えば、自分がどこに就職するかっていうのも、好きなものに関われる仕事にしたいなと思っていました。誰かに誘われたからじゃなくて、”自分がしたい”から選ぶ——その姿勢を大事にしようと思ったんです。」
奈良は、単なる“好きな場所”ではない。
彼女の価値観の根を形作り、キャリア選択において「好き」を迷わず優先できるようになった原点となる場所だった。
4. 長期間の就活——迷走しながらも”好き”だけは手放さなかった
2年生の2月、城戸口さんは就職活動をはじめた。
広告代理店、テレビ局—いずれも「伝える」仕事の最前線だ。彼女はその軸で企業を見ていったが、同時に強い不安も抱えていた。どちらも倍率が高く、本当に受かるのかという心配が、行動を加速させてしまった。
「本当に受かるのかなっていうところに自信がなくて、いろんなところを受けたんですよ。それが失敗でした。受けすぎました。受けすぎちゃって、一個一個の企業への向き合う質が、すごく下がってしまった。」
早期選考も含めれば、出したエントリーシートは50社近く。
面接も数えきれず、研究・ES・面接のループが続く苦しい日々だった。
それでも、彼女が徹底して続けた行動がある。人に話を聞くことだ。
友人、先輩、インターン先の社員に加え、LinkedInで気になる企業の社員を探し、直接連絡してOB訪問を行った。
「どういうことをやっている会社なのかっていうところを、より具体的に伺ったり、どうしてその会社に入られたのかを聞いたり。選考の対策とかも一緒にやってくださったりして。」
就活期を振り返って、城戸口さんは「迷走していた」と振り返る。それでも、一本だけ揺らがない軸があった。
「自分が好きなものを扱っている環境」—その基準だけは、どんなに不安でも手放さなかった。
「今度入るテレビの会社も、好きなコンテンツを扱っている会社っていうところがありましたし、あとは他に受けてた広告代理店も、奈良に関われる広告代理店を中心に受けてたので。」
「好き」という軸は、就活という迷いの渦中でも、静かに進む方向を示し続けた。
5. 内定の瞬間——辿り着いた”好きと働ける”環境
4年生の6月、長かった就職活動がついに終わった。
某テレビ局から内定を得た城戸口さんは、ようやく「好きなものを扱える場所」へ辿り着いた。
しかし彼女は、大学時代の自分を振り返り、ひとつの反省を口にした。
「大学生の時、私は“いろんなことがやりたい”って言って、あれこれ手を出していたんです。これ自体は良いことでもあるんですけど、中途半端で終わってしまったことも結構あって。それは社会人では絶対に無くしたいなと思っていて。まずは入る会社で一生懸命やることが一番だなって。社会人になったら、まずは一本、その会社でやり切るってことをしたいなと思っています。」
“好き”を軸に仕事を選んだとしても、働く日々は好きなことだけでは回らない。
日程調整、社内調整、ミーティング進行。地味な作業や粘り強さが求められる場面は必ずある。
それでも彼女は、その現実をきちんと理解した上で進もうとしていた。
「好きを軸にやるんですけど、それに伴ってやらなきゃいけないことは必ず出てくるじゃないですか。それは長期インターン等ビジネスに触れる中で実感として感じていましたし、頭で“やりたい・やりたくない”とか考えないで「やるべき事はやる」というスタンスを大学生の間に培っていけたことで、就活の際はそのポイントはあまり気にしていませんでした。」
好きなものを扱う会社で、好きではない作業も含めて全力で働く。
その覚悟とともに、城戸口さんは社会人としてのスタートラインに立とうとしている。
6. 就活生へのメッセージ
インタビューの最後、視聴者へのメッセージを求められた城戸口さんは、迷うことなくこう答えた。
「好きなものが無いっていう状態であれば、何でもやってみるとか、どこにでも行ってみて欲しいです。そこで初めて好きなものが見つかると思うので。やっぱり、行動することが一番です。」
“好き”は、待っているだけでは降ってこない。動いて、会って、試して、初めて輪郭が見えてくる。彼女自身もそうやって奈良に辿り着き、「伝える」という仕事に出会い、テレビ局という居場所へと道を切り開いた。
続けて、彼女は自身の就活期間をこう振り返る。
「就活の期間は、いろんな会社の話を聞くことで、幅広い業界について知れたり、自分が何を大事にしていきたいこと、自分が好きなこと、どういう働き方をしたいのかっていうのが、本当に分かる期間でした。これから就活をする方にも、ずっと自分と向き合い続けてほしいですし、やれば確実に成長できると思います。」
好きを見つけること。
好きを軸に選ぶこと。
そして、好きに伴う責任も引き受けること。
奈良で育まれた「自分の軸」は、これから社会に出る彼女の背中を、これからも静かに押し続けるはずだ。
7. 筆者の感想
城戸口さんのインタビューを通して強く感じたのは、
「自分に対して驚くほど素直である」ということだった。
奈良に惹かれたときも、Notionにハマったときも、彼女はその “好き” という感情を誤魔化さず、そのまま行動に移していた。そして就活という、多くの学生が型にはめられがちな場面でさえ、城戸口さんは“好き”を軸に選択を貫いた。
就活の現場では、どうしても企業が求める人物像や、SNSで語られる“優秀さのテンプレ”に寄せようとしてしまう。その結果、自分の個性や、本当の気持ちに蓋をしてしまうことも少なくない。
しかし、彼女の姿を見ると自分への素直さこそが、最も力強い差別化になるという事実に気づかされる。
就活は「正しい答え」を当てにいくゲームではない。自分の軸をどう守り、どう選び取るかの連続だ。だからこそ、他人の基準に合わせすぎず、自分の“好き”や“これだと思える感覚”に素直でいることが、結局は一番の武器になるのだと思う。
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