自分の「やりたい」を見つける方法――現場に出て、チャレンジを重ねる

こんな人に読んでほしい!

✅ やりたいことが見つかっておらず、見つけ方もわからない人
✅ 「自分に合う会社」を見つけたい人
✅ 失敗を恐れ、挑戦をできていない人

小林由布子 さん
明治学院大学法学部4年生。4歳から小学4年生までをドイツで過ごす。
帰国後、中高一貫校を卒業し、明治学院大学法学部に進学。
教育ベンチャーやNGOでの活動を経て来春、小売企業に就職予定。

1. 海外で育ち、公務員の親に憧れた幼少期

小林さんの幼少期は一つの特徴がある。母親の仕事の関係で、ドイツのミュンヘン・フランクフルトで4歳から小学4年生までを過ごしていたことだ。

「当時は『日本から出る』ということを十分に理解しておらず、単なる引っ越しのように感じていました。飛行機に乗ってフランクフルト空港に到着したとき、日本人がほとんど見当たらないことや、街の雰囲気が日本とまったく異なることに強い衝撃を受けました。」

ドイツの文化に触れるなかで、自然と「海外に関わっていきたい」という思いが芽生えた。そんな小林さんにとって最も身近なロールモデルが、母親の存在だった。母は公務員として海外で働き、日本人の生活や権利を支えるために尽力していた。

「異国の地で日本人のために尽くす母の姿は、とてもかっこよかったです。」

ドイツでの経験から「海外で働きたい」という思いを抱いた小林さんにとって、公務員は最も現実味のあるキャリアに映っていた。海外に関わる仕事の中で、自分が実際に目指せる姿として一番具体的にイメージできたのが、公務員だったのである。

2. 日本に帰国し、海外志向で活動した大学期

小学4年生で日本に帰国し、その後の学生生活は日本で過ごした小林さん。
明治学院大学法学部に進学した際にはすでに、’’公務員になって海外で働く’’という明確な目標を持っていたという。

「海外と関わる仕事をしたいと考えており、そのための選択肢として公務員、特に官僚に興味を持っていました。公務員試験では法律科目が多く、法学部が有利だと思ったことが、法学部を志した理由です。」

2年生になると、法学部での学びと並行して、双子の兄の紹介で教育系ベンチャーのインターンシップにも参加することになった。

「兄が先にそのインターンシップに参加していて、私も“何かやってみたいな”と家族の食事中に話したら、“この企業のインターン合うんじゃない?”と勧めてもらったのがきっかけでした。」

仕事内容としては、オンラインの家庭教師塾で帰国子女や海外経験を持つ学生を支援するというものだった。ドイツでの生活や帰国子女向け入試の経験があった小林さんにとっては、親和性の高いテーマだった。

そうした海外や教育に関わる取り組みを続けるなかで、小林さんの関心は「国際協力」へと徐々に広がっていった。ドイツでの生活を通じて培われた海外への関心が、大学で受講した国際系の授業をきっかけにより具体的に発展したのだ。

「国際系の授業を受けるなかで“国際協力”というテーマに触れる機会がありました。公務員に対しては“社会や人々のために働く姿”に憧れていましたが、国際協力は日本の技術や知識を基に、世界中の人々のために尽くすという点で、よりスケールの大きさと面白さを感じたんです。」

大学での学びを深めた小林さんは、JICAと横浜国立大学の連携講座にも参加。ここで国際協力の枠組みを体系的に学んだことが転機となり、3年生になるとフィリピンでフェアトレードを行うNGOでのインターンシップに参加した。

「実際にフィリピンに赴き、現地の人々と交流するなかで、日本の生活がいかに恵まれているのかを実感しました。何気ない日常のありがたさを感じると同時に、そのことをもっと多くの日本人に知ってほしいと思い、日本に戻ってからはフェアトレードチームとして活動しました。フェアトレードという言葉自体は知っていても中身を理解していない人が多かったため、商品の背景や生産者の思いを具体的に伝えることに力を注ぎました。」

また、就活生のための次世代キャリア支援プラットフォーム「BaseMe」を利用し始めたのもこの時期だったという。

「インターンなどの経験を通じて、就職活動でも“エシカル”や“持続可能性”といった視点を大切にしたいと思うようになったんです。そうした価値観を軸に就活を進めたいと思い、BaseMeが掲げていた“自分の価値観を軸にキャリアを選ぶ”という思想に共感して、利用を始めました。」

3. ブレずに貫いた、「自分の目で確かめること」

NGOの活動に精力的に取り組み、そのまま就職することも考えた小林さんだったが、3年生の10月末に就職活動を始めることにした。

10月末という、周囲と比べて遅い時期に就職活動を始めたのは、NGOやJICAでの活動に力を注いでいたからだった。就活の重要性は理解しており、出遅れた焦りもあった。それでも小林さんは「現場に立ち、自分の目で見て、体験すること」を何より大切にしていた。

「でも、私は“自分の目で見たり、実際に体験してみること”を大事にしてきたので、それを曲げたくはなかったんです。だから、OB・OG訪問で現場の声を聞いたり、インターンシップに参加して実際の業務を経験したりしながら、自分のやりたいことに合うのかを確かめていきました。」

そんな小林さんだったが、いざ就活を始めてみると、自分なりの楽しみ方が見つかったという。

「私はいろんな活動をしたり、新しいことを知るのが好きなので、企業研究やOB訪問はよい刺激になりました。そこで出会った人から人生の考え方を聞けたり、今まで知らなかった企業や業界の存在を知れたり。日本の社会がどのような仕組みで成り立っているのかを知るきっかけにもなりました。」

4. 就活の軸。今までの経験から

小林さんはこれまでの経験を踏まえ、就職活動における3つの明確な軸を設定した。

その1つ目は「海外志向」

「海外というのは自分の中で常に大きなキーワードでした。ドイツで公務員として働く母の姿を見てきた影響もありますし、海外にはより大きなインパクトを社会に与えられる環境があったり、自分自身が刺激的な環境に身を置けるという魅力も感じていたんです。なので大学卒業後の進路でも、海外と関われる道を選びたいと思っていました。」

2つ目は「現場主義」

教育系ベンチャーでのインターンシップが、その考えを強めたという。

「インターンでは、家庭教師が働きやすい環境をつくるために、ネットワーキングイベントを企画したり、教師の声を聞くためのアンケート施策を考えたりしていました。でも自分は教師として直接指導していたわけではなかったので、最初は現場の実際の悩みを十分に理解できず、貢献できていないと感じることもありました。そこで“やっぱり現場に出て直接話を聞き、同じ目線に立つことが大事だ”と気づいたんです。この経験が“現場を見る、現場に近い場所にいる”という就活の軸につながりました。」

3つ目は「自分のやりたいことを実現させてくれる環境」であること。

この軸こそが、公務員志向から大きく方向を変えるきっかけになった。

「公務員のインターンシップにも参加したんですが、その仕事内容は決められた業務を期限内にきちんとこなすものというものでした。それに対して教育ベンチャーのインターンでは、自分で企画を立てて提案し、認められればリーダーとして実行できる環境がありました。その経験を通じて、アイデアを形にできる職場の方がやりがいを感じられると分かり、“やりたいことを実現できる環境”を軸にするようになったんです。」

当初はコンサル、広告、商社など、一般的に人気のある業界を中心に見ていた小林さんだったが、最終的には、それらと異なる小売業界のグローバル企業を選んだ。「業界」という切り口ではなく、その企業が、自分が設定した3つの軸をすべて満たしていると確信できたからである。

「最終的には海外展開もしている、小売業の企業に入社することに決めました。もともと見ていた業界とは全然違いましたが、自分の軸に一番合っていると感じたんです。」

5. 「自分のやりたいを見つける方法」ー就活生へのメッセージ

小林さんは、自分の「やりたい」を見極めるために大切にしてきた姿勢についてこう語る。

「もともと“海外で働きたい”という思いから公務員を目指していましたが、法学部での勉強やインターンを経験する中で、モチベーションがなかなか保てませんでした。本当にやりたいことなら、自然と気持ちも動くはず。ただ、それは実際に勉強をしたり経験してみないと分からないことです。だからこそ、企業について調べてみたり、インターンシップに行ってみたり、会社の人に直接話を聞いたり。“見て・聞いて・体験する”ことが大事だと思います。その中で、“自分は何にワクワクするのか”、“どんな時にモチベーションが高まるのか”を少しずつ見極めていきました。その理由を言語化し、共通点を見つけていくことで、数分のアンケートや自己分析の本ではわからない、本当の「やりたいこと」に近づけると思っています。」

インタビューの最後、小林さんはこれから就職活動に臨む後輩たちへメッセージを残した。

「就職活動はプレッシャーを感じやすいものだと思います。私自身も“いい会社に行けないと将来が大変になるのでは”、“両親の期待に応えなきゃ”という不安を感じていました。 ただ、そんな就活でも本気で向き合えば、社会に出てからも役立つ力がつきますし、自分を深く知るきっかけにもなります。だからこそ、悩んだり遠回りしたりしても構いません。興味のあることに挑戦しながら、一歩ずつ進んでいってほしいです。」

6. 筆者の感想

「やりたいことが見つからない」という学生は、多くいるのではないだろうか。
やりたいことがないから、就活に身が入らない。
やりたいことがないから、将来やりたいことができた時のための教育制度の整った企業を選ぶ。
やりたいことがないから、若いうちから裁量権が大きく、激務でも実力がつく会社に行く。
―そんな選び方をする人もいるだろう。

「やりたい」という感情は単純ではなく、多面的で複雑なものだ。

何らかの状況によりモチベーションが上がることもあれば、同じ「やりたいこと」の中でも苦手な作業はやりたくないと感じることもある。だからこそ、自分が情熱を持って取り組める仕事に出会うのは容易ではない。

だからこそ大切なのは、自分の中のエンジンが一番勢いよく動き出す瞬間―夢中になれることや心から頑張れること―を、挑戦という名の様々な経験・試行錯誤で見つけていくことだと思う。実際にやってみなければ、「こういうことは自分の得意だ」「こういう環境なら力を発揮できる」も分からない。

本稿を読んでくれている皆さんにも、まず一歩、前に進んでみて自分の情熱スイッチが入る瞬間を探してみてほしい。

本記事では一部を抜粋してご紹介しました。
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