こんな人に読んでほしい!
✅ 自分の人生を「決めていくこと」に抵抗を感じている人
✅ 目標や夢がなく困っている人
✅ 失敗を恐れて挑戦できていない人

繋奏太郎 さん
1997年生まれ。青森県青森市出身。創価大学法学部卒。
学生時代は国際協力NGOの海外インターンや留学経験者のコミュニティづくりを経験。
現在はフリーランスとして、NPOのファンドレイジング支援や一般社団法人の理事を務めるなど、多岐に渡り活躍中。
1. 幼少期〜中学:青森で芽生えた「飽くなき探究心」
繋さんの原点は、青森の大自然にある。歩いて1時間かかる、全校生徒わずか81人の小学校。地域に同世代の子どもは5人ほどしかいない――そんな環境で幼少期を過ごした。
当時の繋さんの将来の夢は「考古学者」だったという。そのきっかけは、エジプトを舞台とした漫画『遊戯王』との出会いだった。
「遊戯王の舞台がエジプトで、そこから漠然とエジプトに対する好奇心が芽生えました。親に“エジプトで発掘とかができる仕事はないの?”と聞いたら、考古学者だと教えてもらって。それからエジプト展に連れて行ってもらったり、新書のエジプト本を読むようになったんです。」
振り返れば、この時期に芽生えた「オタク気質」こそが、現在の繋さんの行動力の源泉になっている。一つのことに深くのめり込み、知らないことを徹底的に調べずにはいられない性格。この強い知的好奇心が、後のキャリアにも色濃く影響している。
2. 高校時代:「選択肢は無限」と知った人生の転換期
繋さんのキャリア観に強い影響を与えたのは、高校時代の体験だった。県内で唯一、外国語学科を持つ高校を選んだ彼を待っていたのは、人生を変える出会いである。
担任の先生が内閣府の「世界青年の船」*の経験者で、多国籍の大人たちを学校に招いてくれたのだ。UAEの王族の息子、スイス出身の研究者、Facebook勤務者など。16〜17歳の繋さんにとって、これらの出会いは強烈な衝撃となった。
「いろんな国籍や生き方があって、世界は想像以上に広いんだと気づきました。そのとき初めて、“選択肢は無限にある”“自分ももっと自由でいいんだ”と実感したんです。自分が知らない面白い世界が、こんなにあるんだと。」
青森の限られた環境で育った世界観が、一気に「何でもできる」へと広がった瞬間。
この体験は、繋さんが型にとらわれないキャリア観の原点となり、答えを急がず、キャリアの余白を楽しむスタイルに繋がる。
※「世界青年の船」:日本政府が主催する国際交流事業で、世界各国や日本の若者が船上で共同生活を送りながら交流・研修を行うプログラム。
3. 大学時代:フィリピンでの「なんとかなる」の実証
大学では、周囲の友人が次々と留学していたこともあり、繋さんも自然と海外へ目を向けるようになった。そんな中で出会ったのが、普段学校に通えていない人たちに向けて映像教育を展開する認定NPO法人e-Education。そのインターンシップの一環として、フィリピン・ミンダナオ島での留学インターンプログラムに参加することとなった。
プロジェクトの対象は、13歳から40歳までの幅広い年齢層の学生たち。映像教材を用いて授業を届ける取り組みだったが、現地で活動を続けるうちに繋さんは、映像教材が持つ限界に直面する。
「映像だけ見せても、生徒はそこまで興味を持たずに帰ってしまうことが続きました。そこで勉強そのものを魅力的に感じてもらえる仕組みづくりが必要だと感じたんです。」
悩みの末、繋さんが考案したのが、現地の大学と教育委員会を巻き込んだチューター制度だった。
「教育学部の大学生がチューターとして指導に参加できる仕組みをつくりました。大学生にとっては、教育実習として教師になるためのポイントを貯められるメリットがあり、地域の子どもたちにとっては、大人から直接学びを受けられる機会になります。こうした座組みを実現するために、地域の教育委員会、大学、行政など、さまざまなステークホルダーと現地の言語で話し合いを重ねました。
映像ではなく、人との関わりが学びへの関心につながると思ったんです。」
20歳の大学生が、異国の地で複数組織間の調整から現地に根付いている様々な仕組みを変えていくことは決して容易ではない。それでも繋さんは、「なんとかなる」「とりあえずやってみる」から一歩を踏み出し、実行した。そのフットワークの軽さこそ、彼の挑戦を支える最大の武器だった。
4. 新卒〜フリーランス:「自分でやる」から「場をつくる」への進化
フィリピンから帰国後、繋さんは起業を検討するものの、「覚悟が固まらない」として就職活動へ方針を固める。新卒では株式会社STYZに入社し、Syncableという寄付プラットフォームサービスにて、ファンドレイジングを経験。現在は同社を退職し、フリーランスとして全国各地を巡りながら複数のプロジェクトを同時に進めている。
そんな繋さんが大切にしているのは、「決めつけない」ことだ。
「’’決めつけない’’ことを、多分一番意識していると思います。ネットやSNS上のフェイクニュースとかもそうですし、何が正しいのか分からなくなっている世の中だからこそ、決めつけた瞬間に視野が狭まって、いいコミュニケーションが取れなくなってしまう気がします。」
フリーランスという働き方には収益が安定しないという不安もある。しかし、それ以上に繋さんを突き動かしているのは「未知への高い関心」だ。
「オタク気質なんですよ。ハマったらとことん深掘りするし、気になったら調べたり、実際に足を運んだりする。地域活動も遊び感覚に出かけて、人と話して『じゃあ、こういうことできそうだね』と始まっていくんです。」
「決めつけない」オープンマインドと、幼少期から続く知的探究心。その二つが掛け合わさることで、繋さんは今日も全国各地で挑戦を続けている。
5. 答えを急がない勇気──この時代に必要なキャリア観
最後に、繋さんは就活生や社会人へのメッセージとしてこう語った。
「よく『チャレンジしないとわからないよね』と言われますけど、それって結構難しいことですよね。ただ、その挑戦で感じたことや考えたことをしっかり振り返り、内省することが大事だと思います。自分にとって何が幸せにつながるのか。それが例えばお金だったり、ウェルビーイングだったり、人それぞれ違うと思いますが、その問いを自分に当て続けることが大切ですね。」
そして最も印象的だったのは、次の言葉だ。
「答えを出すことを焦らないでほしいですね。今すぐ答えが出なかった、出せなかったとしても、焦らず保留してみるのも大事。いずれそれが、自分の中で確信的な答えになる瞬間が必ず来ると思うから。今この時代だからこそ、答えを出すことを急がなくていいんです。」
効率性や生産性が重視される現代社会において、繋さんが大切にする「なんとかなる」「決めつけない」と言える勇気は、正解のない時代を生きる私たちに、選択肢を狭めず可能性を信じ続けることの大切さを教えてくれる。
そして彼は、キャリアとは積み上げていくものであると同時に、余白を楽しみながら育てていくものでもあることを示している。
6. 筆者の感想
「決めつけない」「余白を残す」。
これは簡単ではなく、大きな不安を伴うことだと思う。
目標を定めれば、努力の方向性も決まり、迷いなく突き進められる。学生時代であれば、テストという分かりやすい外部の指標を目指せばよかったから楽だった。だが就活、さらには社会人になるにつれて、自分で物事を決め、不確実性の中を生き抜く力が求められる。そこには常に不安とストレスがつきまとう。
しかし、「決めつけない」マインドを持つことで、これまで見えなかったより良い選択肢の存在に気付けるのかもしれない。決められないことへの焦りは、そこまで深刻に捉える必要がないのかもしれないと記事を書きながら考えた。
本記事では一部を抜粋してご紹介しました。
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