こんな人に読んでほしい!
✅ 「仕事のやりがい」とは何か考えている人
✅ 「巻き込む」とは何かを知りたい人
✅ 将来的に起業を考えている人

本澤杏祐 さん
1993年、大阪府吹田市生まれ。同志社大学卒業。
大学在学中に京都で飲食店を起業・経営。卒業後はレバレジーズ株式会社に入社し、「キャリアチケット就職」の立ち上げメンバーとしてキャリアカウンセリングを担当した。
現在は同社を退職し、株式会社Oreyalを設立。大阪や東京・恵比寿で会員制レストランを運営するなど、主に飲食事業を展開している。
1. 幼少期:巻き込みの片鱗が見える
本澤さんの幼少期は、野球・サッカー・空手・スイミングと、多忙を極めていた。
「一番忙しかったのは小4くらい。午前と午後で予定を組まないと、やりたいことが回らない状況でした。」
注目すべきは、その活動における彼の立ち回りである。
「友人と遊ぶときは、自分がやることを決める立場に回ることが多く、誘われるよりも誘う側でした。ドッジボールではチーム分けを担当し、クラスでは委員長、部活ではキャプテン。気づけばいつも、人をまとめる役割になっていました。」
この頃からすでに、人を巻き込む才覚は芽生えていた。
「友達と遊ぶのも好きだし、とにかく暇が嫌い。寂しがり屋なところもあったと思います。」
場をつくり、人を動かす楽しさを、幼少期から体感していた。
2. 高校時代:やりたいことは全てやる
大阪府立春日丘高校に進学した本澤さんが選んだのは、体育祭の応援団長という大役だった。
「100周年なので、なんかやろうぜとなりまして。普通でも“体育祭の応援団長をやると受験に落ちる”というジンクスがあるくらい大変なのに、それに加えてもう一つ企画を作ろうと提案してしまい、最終的には全ての応援団を統合した新たな応援団の団長を務めることになったんです。」
4月からおよそ5カ月間、頭の中は体育祭のことでいっぱいだったという。
「でも、その時は本当に、みんなでゼロから何かを作ることが楽しくて。受験に落ちてもいいやと思えるくらい、最高に楽しい時間でしたね。」
その言葉とは裏腹に、応援団活動を終えた本澤さんは、次のステップとして冷静に進路を見据えた。
「ジンクス通りだと、自分は国公立は落ちるなと。だから、三教科で受験できる私立なら今からでも挽回できるだろうと考えたんです。」
受験勉強に全集中した本澤さんは、関西の私立の雄・同志社大学一本に挑戦。見事合格を果たした。
3. 大学時代:ビジネスの面白さを発見、しかし壁に直面
同志社大学に入学した本澤さんだったが、わずか1カ月で大学生活に幻滅してしまったという。
「隣から“関係代名詞ってなんだっけ?”って声が聞こえてきたのを、今でも覚えています。受験勉強をしていれば当然知っていることなのに、そんな状態でも大学に入れる人がいる。それが自分の中ではすごく嫌だったんです。」
大学へのモチベーションを失った本澤さんは、次第に学外のビジネス団体での活動に力を入れるようになる。
「’’大学生でも集まれるような店を京都でやろうと思っているんだけど、手伝ってくれないか’’と声をかけられて。そこでお手伝いすることになりました。」
大学2年生から祇園でのバー立ち上げに参加し、経験を重ねていった本澤さん。
そして4年生直前には、ついに自ら河原町・木屋町エリアで不動産を借り、個人事業主として自らのバーを開業した。
その後バーの経営は軌道に乗り、売り上げは順調に伸びた。本澤さん自身も手応えを感じていたという。しかし同時に、超えられない壁にも直面する。
「売り上げが上がるにつれて、仲間も増えていったんですけど、その先を全く考えていなかった。二店舗目を作るなら、例えば自分の睡眠時間を3時間削ればいけるかもしれない。でも、そんな状態は長く続かないだろうとも思ったんです。」
ここで本澤さんは考えた。事業を拡大するには、経営やマネジメントを体系的に学ぶ必要があると。
将来の起業に必要なスキルを身につけるため、本澤さんは一般企業への就職を決意し、就活を始めることになる。
4. 就活:将来的な起業を見据えた、逆算の企業選び
バー経営の経験から導き出した本澤さんの結論は明確だった。
「会社を大きくする方法を企業に就職して学べばいいと思ったんです。まずは一度社会に出て、マネジメントや経営といった、起業に生きるような部分を学ぼうと考えました。」
続けてこう振り返る。
「あとは単純に、就職という選択肢を消す理由がなかったんです。サラリーマンとしてもやっていける自信があったし、一度社会に出てみようという思いになりました。」
就職活動のアプローチも戦略的だった。バーの経験から「いずれ起業すること」を前提として動き、
「最速最短でマネジメントや経営、事業推進のスキルを得られる会社に入ろう。」
と決めていたのである。
その軸に従い、受けたのはベンチャー企業の3社——レバレジーズ、サイバーエージェント、リクルート。
その中でレバレジーズを選んだ理由について、本澤さんはこう語る。
「ピラミッドを3つ書いて、どこだったら最速で上まで行けるだろうと考えたら、レバレジーズだったんです。業界については全く知りませんでしたが、友人にも向いていると後押しをもらい決断しました。」
5. レバレジーズ時代:ビジネスの基礎とロジックを徹底習得
入社当初、営業部署に配属された本澤さんは、学生時代の経験から大きな自信を持っていた。
「“いや、俺、社会人3年目だからな”みたいな感覚でしたね。自分でお店をやってきたし、喋りの仕事を常にしてきた自負はあるので、営業で負けることはないと思っていました。」
自信に満ちていた本澤さんだが、その後出会った上司である事業部長に大きな影響を受ける。
「お前のノリと勢いなんて誰も喜ばないからね、とだいぶ辛辣なことを言われて。ただそこで、”この人には期待されたい”、”期待を超えたい”と思ったんです。ビジネスマンとして、基礎的なことを学んでいかなければならないと気づきました。」
ここで本澤さんは、「当たり前の基準を大切にする」ことの重要性を学ぶ。時間を守る、約束を守る——ビジネスマンとしての基礎的な素養を身につけていった。
その後、本澤さんは新卒向け就職支援プラットフォーム「キャリアチケット就活」の立ち上げメンバーとして参画。コロナ禍のタイミングで事業責任者に就任し、入社当初に思い描いていた通り、事業拡大の最前線に立つこととなった。
「当時はコロナ禍だったこともあり、既存のやり方のままでは難しいと言われる中で、同じラインにいるマーケティング担当やサービス開発のメンバーと一緒に、どうすればいいかを考えながら動きました。社長からのプレッシャーも強く、その中で答えを出さなければならなかった。でも、そういう状況で働いてこそ“生きてるな”と実感できました。」
6年半に及んだレバレジーズ時代は、本澤さんにとって、感覚や勢いだけでなく、ビジネスを進めるためのロジックを徹底的に学んだ重要な期間となった。
6. 独立:「目の前の笑顔」を追求する飲食業への転身
私生活では、コロナ禍のタイミングで第一子が誕生した。それは子育てに対する考えが変わったタイミングでもあるという。
「1人目の子どもが生まれたのはちょうどコロナの時期でした。なので自分も在宅勤務となり、育児を間近で見る時間が多く持てたんです。正直、それまで子育ては“自分がどのように関わるのか”あまりイメージできていませんでしたし、“どちらかが仕事、どちらかが子育て”という分担になるのかなと思っていました。しかし、物理的に時間ができたことで自然と子育てに関わるようになり、想像以上に面白いと感じたんです。」
子育てに対する価値観の変化を経験した本澤さんは、第二子誕生のタイミングでレバレジーズ退職、独立を決意する。
「2人目が生まれるとなった時に、“今後、子育てと仕事の両立は無理かもしれない”と思ったんです。会社の人にも気を遣わせてしまうし、結果的に仕事も家庭も中途半端になっているように感じて。そこで、“いっそすべて自分の責任で、働く時間も家にいる時間も自分で決められるようになれば、両立できるんじゃないか”と考えるようになりました。」
重要なのは、「レバレジーズに不満があったわけではない」という点だ。
自分の働き方と生き方を見直した結果、選んだのが独立という道だったという。
独立後、本澤さんは飲食業の道を選ぶ。その理由は、本澤さんの価値観を端的に表している。
「顔の見えない地球の裏側の誰かが幸せになるかもしれない、という事業よりも、目の前で人を”おいしい”と喜ばせる仕事の方が自分には嬉しいと思ったんです。」
これこそが飲食業の醍醐味——「目の前で見える笑顔」を大切にしたいという価値観の体現だった。
現在は大阪でイタリアンレストラン、東京で完全会員制の店舗、さらに北海道でのインバウンド向け中華レストランを展開しており、最前線で挑戦を続けている。
7. 「熱量ある人を巻き込む」経営哲学の実現
現在、本澤さんが代表を務める、株式会社Oreyalの採用はほとんどがリファラルだという。幼稚園の頃の知り合いから、レバレジーズ時代の同僚まで、幅広い採用を行なっているが、そこには明確な哲学がある。
「“これをやりたい”という強い熱量を持つ人がそばにいれば、必ず物事はうまくいく。だからこそ、自分はそういう人を巻き込み、一緒に取り組む。そして、自分はこれまで培ってきたビジネス面の力で、その挑戦を支えていく。」
「人生でいろんなチャレンジをしてきたからこそ、そこで関わってくれた人のことは信頼している。だから“この人と何を一緒にできるかな”という目で万人を見てますね。仲が良ければ一緒に仕事すればいい、という価値観なんです。」
「熱量ある人を見つけて巻き込み、協力して事業を進める」——これこそが本澤さんのスタイルなのだ。
8. モチベーションの源泉:「期待に応える」ことの喜び
本澤さんのモチベーションの源泉をたどると、幼少期のある体験に行き着く。
「オカンがめっちゃ褒めてくれてたんですよね。”あんたはすごいなあ”と。だから“期待される”ということが、すごく好きになったのはその頃だと思います。期待されていること自体が“生きている”という実感につながって、自己肯定感が上がるんです。」
この価値観は、現在の本澤さんのスタイルにも色濃く影響している。
「だから、全然無茶な要求をされる方がむしろテンションが上がるというか。それに意地でも応えたいと思う自分がいるんです。役割や立場にこだわりはなくて、みんなが期待してくれるなら、それをやりたいと思う。」
「飲食店で目の前の人の笑顔を見たい」「誰かの期待に応えたい」「誰かの熱意を汲み取り、巻き込んでビジネスとして形にしたい」
——周囲にポジティブな影響を与え続けることこそが、本澤さんが挑戦を続ける原動力なのだ。
9. 筆者の感想
就活をしていると、「周囲を巻き込んだ経験」について聞かれることが多い。しかし、就活以前の人生で「人を巻き込む」という言葉を意識したことはなく、最初はその意味がよくわからなかった。
そんな中、“巻き込みの権化”とも言える本澤さんに出会い、ようやくその本質を少しは掴めた気がしている。巻き込むとは、自分と近いもしくは自分よりも強い熱量を持つ人を見つけ、その想いを自らの力で支え、共にインパクトを最大化していくことではないだろうか?
筆者自身、今はまだ明確に「これをやりたい」と言えるものがないが、本澤さんのように、熱量ある人を巻き込み、自分の実力で価値を広げていく姿はとても魅力的なものであると感じている。やりたいことが定まっていない今だからこそ、この“巻き込むスタイル”をキャリアの参考としたい。
本記事では一部を抜粋してご紹介しました。
フルバージョンはYouTubeにて公開していますので、ぜひご覧ください。
👉 YouTubeはこちら